
夕焼けキャラメルの、正しい煮方をひとつ教えてあげる
あら、来たのね。ちょうど夕焼けが煮詰まりはじめたところよ。せっかちに覗き込まないの、火傷するでしょう。ほら、そこにお座りなさい。
今日はね、わたくしのいちばん自慢の一皿――夕焼けキャラメルの煮方を、特別に教えてあげる。地上のお菓子屋さんには一生真似できない代物だから、心して聞きなさいね。
まず、良い夕焼けを選ぶこと。西の空がいちばん惜しそうに色を残す、あの一瞬を、まだ熱いうちにそっとすくうの。慌てて早く取ると酸っぱいし、名残惜しんで遅く取ると焦げる。……ちょうどいい頃合いは、あなたが「今日も一日、まあ悪くなかったわ」と思える、あのくらい。ええ、その顔よ。今のあなたの空、ちょっと甘そうだったから。
すくった夕焼けは、雲の泡立て器でゆっくり、ゆっくり。焦らないの。甘いものはね、急かされるのが何より嫌いなんだから。とろりと角が立って、鍋のふちがきらきら光りはじめたら――そこでようやく火を止める。うさぎのマカロンが味見をせがむけれど、あの子には内緒でひと匙だけ。……べ、別にあなたにも残しておいたわけじゃないわよ。たまたまよ、たまたま。
そうして焼き上がった夕焼けキャラメルは、火曜の夜、まったり雑談配信でお出しするわ。「夕焼けキャラメルを煮る夜」――名前の通り、あなたがぼんやり画面を眺めているあいだに、わたくしがことこと煮てあげる。何も持ってこなくていいの。疲れた顔ひとつ持っておいでなさい。ちゃんと甘くして、帰してあげるから。
それじゃ、今日はこのくらい。……ちゃんと最後まで読んだのね。えらいわ。ご褒美に、次の便りにはもっと甘いのを焼いておいてあげる。